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アムネシアは蜜愛に花開く
第6章 Ⅴ アムネシアは蜜愛に花開く

巽が果てても、その芯が衰えていないことに驚くと、巽は笑った。
「セックスくらい、年下でよかったと言わせてやるから」
コンプレックスを滲ませたような物言いに、驚いて尋ねる。
「年下、嫌だった?」
「当然だろう? 今度は先に行くお前の背を眺めるのではなく、俺の腕の中に長く閉じ込めてやる」
「……っ」
「俺だけのために咲き続けろ、これからも」
「うん……あああっ」
再び始まった抽送。
振り落とされないように巽にしがみつくと、巽は笑いながら優しいキスをして、それとは正反対な獰猛な律動を続けた。
「巽、そこ駄目、駄目っ」
「ああ、ここ?」
弾んだ息をしながら巽が、わたしの弱い部分を重点的に攻めてくる。
「駄目、またイク。イっちゃうから!」
「ああ、イケよアズ。俺を感じて、咲き乱れろ!」
「あああ、巽、巽、ああ、あああああっ」
……ふたりの夜は、まだまだ続く。
――ねぇ、タツミ。このお花、綺麗よねぇ。こういうのを、恋人にプレゼントされたいわ。
――お姉ちゃん、僕がプレゼントする! そうしたら僕と、結婚してくれる? 僕を恋人にしてくれる?
アムネシア――。
丸みある花弁が、薄茶がかった薄紅色から段々と薄紫色に変わっていくミステリアスな薔薇で、花言葉は「記憶喪失」だという。
一途な記憶を失ったアムネシアは、また恋をする。
忘れても消えない、溺れた恋の記憶を辿るのだ。
そして。
恋に艶づき、蜜愛に濡れた花を開き、ただひとりのために咲き続ける。
枯れることなく、永遠に――。
『アムネシアは蜜愛に花開く』完

