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アムネシアは蜜愛に花開く
第6章 Ⅴ アムネシアは蜜愛に花開く
~あとがき~
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
こちらの作品は、某コンテストにおいて「恋に溺れる」という主題にて、短期で書き殴ったものに加筆修正を加えたものとなります。
恋に溺れる――。
恋に夢中になることでもたらされる力と、それがいきすぎてしまった悪い部分を重ねて描きたくて、広瀬と由奈、そして義母の登場となりました。
私の描くヒーローは、ハイスペックな分、苦しみを与えています。
私の中で一番理不尽な苦痛というのは親からの虐待であり、どの作品でもそこからの脱却を裏テーマにしていますが、別に私が虐待されていたり親となにかあったわけではありません(笑)
そのため実際体験された方々の苦痛にはほど遠いかと思いますが(特にアムネシアは生温い)、それでも心理学を囓った人間として、自宅介護していた祖母の剥き出しの本能に触れた人間としては、親と子という普遍的命題を取り扱うことで、私流の方法で、ヒーローやヒロインに苦しみに立ち向かって貰いたいと思っています。
別の「恋に溺れる」で書いた物語は受賞し、書籍化予定になっております。それはデザイン会社の話であり、祝賀会でちらっと出て来たところになります。
これらの2つの物語は、祖母が亡くなりガタガタの精神を立て直すために、物語を通して引き摺っている祖母のことを強制完結させたくて書いた物語です。
祖母はもう戻ってきませんが、失うことで受賞という「代償」を得ました。
正直、複雑な心境です。
人生はプラマイゼロ。苦しみというものはなにかにとって替わられながら、ひとは前を進んでいけるのなのかもしれません。
苦しみにもがく時、目に見える形あるものだけではなく、誰かから向けられる優しい心など、見逃してしまいがちな目に見えないものにも気づきたいものだという思いを、新たにこの作品に込めさせて頂きました。
苦しみに喘いでいる方々が、困難に勝利したり、苦しみ同等あるいはそれ以上の代償を得たり、昇華出来ますよう。
特に苦しんでいる方々の励みになれるような物語になれましたら、幸いです。
2018.03.07
奏多 拝