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囚われる…
第2章 幻の頭
身体が熱くなり興奮をする。
人に秘密を教えたいという気持ちよりも人よりも先に秘密を知りたいという好奇心からフリーのライターになった。
「守秘義務はわかってます。本当に楼蘭の中を見せて貰えるのですか?」
興奮のあまりに声が震えた。
男はただ俺の顔を撫で続ける。
「ちゃんと、いい子にしてろ。それが俺の条件だ。」
男の指示で身体検査をされた。
Tシャツがめくられてジーパンも脱がされる。
こんな程度では驚きはしない。
隠しマイクなどが無いかの検査だ。
カメラやペンなども持って入る事は許されない。
当然だが腕時計や携帯も自分の鞄に詰め込まされた。
身体検査が終わると男が俺の手を握り、借りている空き店舗から出た。
丁度、6時…。
楼蘭の前にはいつものように黒人の男が出て来る。
俺はただ男の手を握り道路を渡る男の顔を眺め続けていた。
彼が頭なのか?
まさか…、そんな…?
頭が混乱をしそうになる。
店の前で男が立ち止まった。
黒人のボディーガードはまるで男と俺が見えていないように振る舞う。
「覚悟はいいか?」
身体の芯に響く声にドキドキとさせられる。
未知の世界へと踏み込む興奮。
幻の頭に1歩だけ近づける。
それは恋に落ちた気分に等しい…。
この2ヵ月、宛もなく追い求めて来た人間だから…。
例え僅かな片鱗でも彼の存在に1歩近づける人間に自分が選ばれたという興奮を今の俺は絶対に堪える事なんか出来なかった。
ただ謎の男に手を引かれ、開かれた楼蘭の入り口へと導かれていた。