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囚われる…
第2章 幻の頭



この男が何者かはわからない。

ただこの男を調べれば頭に辿り着くとだけがわかる。


「なら、貴方を取材させてくれませんか?」

「断る。」

「謝礼なら出します。」

「要らん。」

「お願いします!なんでもいいので情報を下さい。」


お情け頂戴が通じる相手だとは思わないが試しに言うだけは言ってみる。

男が俺に1歩近付いた。

全身がゾワゾワとする。

男が手を俺の顔辺りまでゆらりと上げた。

殴られる?

そんな殺気を感じる。

なのに身体は萎縮をして動かない。

なんなんだ?この男…?

その瞬間には男の手の甲が俺の顔に触れた。

条件反射的に身体が竦み、ビクリと動く。


「へぇ…、可愛い顔をするじゃん?」


男が自分の唇を軽く湿らすように舐めた。

男に可愛いとか言われても嬉しくはない。

ただ本能的に自分と男との格の違いがわかるから間違いなく俺は今、男に怯えた顔を向けている。


「気に入った…。特別に楼蘭に入れてやるよ。但し取材は一切受けない。つまり守秘義務が発生をしているという事実はちゃんと理解をしているよな?」


男が俺の顔を撫でながらそう言った。

手が震えた。

楼蘭に入れてやる?

警察ですら実態が掴めない謎の世界に俺は初めて近づける人間になれるのか?

心臓が爆発をしそうになる。

守秘義務…、わかっている。

中で見た事、聞いた事は一切口外をしてはならない。

そのルールは絶対であり、もしもそのルールを破れば俺はライターの世界から完全に干される。


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