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囚われる…
第3章 楼蘭



白い壁…

白い通路…

これが店の中か?

全面が真っ白で視野による距離感などの感覚がおかしくなる。

だから頭の中で自分が歩く歩数を数える。

曲がり角を2度右に曲がり50数歩…。

20mから30m程度の距離だがこの楼蘭という店の大きさを誤魔化すには充分なやり方だ。

ここまでする必要のある店って一体なんなんだ?

通路の終わりには真っ白なエレベーターホールがあり、やはり真っ白なエレベーターに乗せられた。


「階数表示がない?」


そのエレベーターは上に行くか下に行くかしか表示がされていない。

しかも今は下に向かってエレベーターが降りている。


「怖くなったか?」


男が俺の腰を抱くようにしてクスクスと笑う。

まるで真っ白な世界の黒の騎士を思わせる。


「誰が怖いんだよ?」


女なら、ここでキャーっと黄色い悲鳴を上げるのだろうが生憎俺は男だからそんな幻想的な光景でも動じない。

エレベーターが着き、扉が開くと再び白の通路の登場だ。

しかも今回は迷路のように入り組んでいて男とはぐれたら2度と地上の世界には戻れそうにないと感じる。


「どうなってんだよ?」

「楼蘭への扉はお前が入って来た扉一つだけではないという事だ。」


男がニヤニヤとして答える。

つまり、いくら俺があの入り口を見張っていたとしても従業員や客は俺の存在に気づいた段階で他の入り口から入店をしていたという事になる。


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