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囚われる…
第2章 幻の頭
世の中には危ない週刊誌や月刊誌が存在をする。
フリーのライターはそんな雑誌に記事になりそうなネタを持ち込まないと食ってなんかいけない。
だけどネタが弱けりゃ足元を見られる。
「この人のネタじゃ、もう買えないよ。」
危ない月刊誌の編集部からそう言われた。
「だったら誰ならいいんですか?」
「新興勢力の関東義行会、あそこの頭って未だ謎のままなのを知ってるか?」
「顔写真すらないって噂の男ですか?」
「撮影に成功をしたカメラマンが居ないからな。」
というのも普通なら名簿があり偽名だろうが名前くらいは乗る…。
その男はまるで頭不在のように名簿に名前登録すらされていない。
取材も全てNGの謎男…。
あくまでも噂だが一度だけその男を遠距離から撮影に成功をしたカメラマンが何故かその3日後にはカメラマンを引退したとか聞いた。
「本当に…その人の独占取材に成功をすればネタを買ってくれますか?」
「相手から取材許可も取って来れるならな。それなら相場の5倍は出す価値がある。」
そんな事を言われて俺は義行会の本部という事務所の前で張り込みをする事になった。
少し前は戦場カメラマンって立場だった。
給料はすげー良かったが命がいくつあっても足りないと感じた。
戦場に比べりゃ日本の暴力団なんか可愛い方だ。
暴対法などで肩身が狭くなった今の時代じゃ特にそれを感じる。
それでも本当の意味で暴力団が根絶されるという事はない。
このネット時代じゃ架空の立場でいくらでも稼げるというメリットがある以上、稼ぎ続ける暴力団に暴対法の手は届かない。