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囚われる…
第2章 幻の頭
がむしゃらにひと月…
その危ない事務所の前で張り込みを続ける。
24時間を張り込んで家に帰る。
事務所に出入りをする車を片っ端から撮影をした。
まずは寝て頭をはっきりとさせる。
起きたらコーヒーを飲みながらカメラのデータをパソコンに移す。
拡大をして運転手や乗っている人間をチェクする。
既に雑誌に出ている奴は全て排除をしていく。
普通の引き算で考えれば残った人間が幻の頭になるはずだ。
その選別を繰り返す。
残った人間は確かに居た。
だが噂の年齢と合わない奴は多分雑誌には載らない下っ端だ。
怪しい奴が居なければ翌日はまた張り込みに戻る。
張り込み生活から一週間もすれば事務所からの嫌がらせが始まった。
「おっと、悪ぃ…。」
如何にも柄も頭悪そうな奴が自転車でわざと車にぶつかって来る。
だが入れ知恵だけは持っている。
「警察を呼ぶ?ここ駐車禁止指定道路だけど?」
車からは降りずにひたすらターゲットだけを狙う。
「おい!聞いてんのか?コラァ!」
脅されてもスルーをする。
暴対法がある限り強引で暴力的な無茶は絶対にしては来ない。
そうやって無視を続けながら幻の頭を求めて辛抱強く張り込みを続けた。
ひと月も経った頃だった。
車の窓ガラスがノックされる。
「親分が話を聞くと言っているが、取材をする意思はあるのか?」
明らかに事務所の人間と思う奴からそう言われた。
取材をする。
と言えば殴られようが腕を折られようが監禁をされようが訴える事も文句を言う事も出来なくなる。