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囚われる…
第6章 世界のバランス
俺が眠っていたから、また女を呼んだんだ…。
女の喘ぎ声を道しるべに長い廊下を歩き、木枠のガラス扉を開ける。
眩しい…。
プールに太陽の光が反射してキラキラと揺らめきを見せるプールサイド…。
真っ白な大理石のプールサイドにはダブルのウォーターベッド…。
白いワンピースの水着姿の女…。
タイの女だとわかる。
目鼻立ちがはっきりとしていて綺麗な女なのに水着の上半身はだらしなく片方の乳房を出し、水着のクロッチ部分をずらして馨の上で腰をうねらせている。
「あはん!ああー…!」
うるさいな…。
馨の奴は無表情なままウォーターベッドに寝転がっていやがる。
どうせイカないからと、やる気もないくせに女をいちいち抱くなよ…。
「馨!」
怒りを含んで呼んだ。
「匠!」
女を跳ね除けて全裸の馨が嬉しそうな顔で俺に駆け寄って来る。
「やっと起きたか?」
俺の顔に手を伸ばして来る。
パンッ!
音がするほど強くその手を跳ね除けた。
「なんで?」
人の怒りや哀しみを理解が出来ない馨が無表情な顔で聞いて来る。
「他の奴を抱いた手と身体で俺に触るな…。」
何故それがダメなのかを教える為に冷たい態度で突き放す。
「匠もあの女とやりたかったのか?」
とぼけたように馨が言う。
「違う…。もし俺が他の男に抱かれて汚された身体で抱いてくれと馨に言ったら馨はどうする?」
「あぁ…、そういう事か…。」
馨なりに納得をする。
そして…。
「もしそうなったら匠を綺麗に消毒をしてから相手を男を消さないとな…。」
殺人者の顔で馨が笑っていた。