この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕の彩芽
第14章 十四
「彩芽ちゃん、ごめんね、部屋まで来て。でも、どうしようもなかったんだ……。彩芽ちゃんに会いたくて……」
「……どうして部屋が分かったんですか?」
「それは……」
しゅんと落ち込んだように、龍生さんは話を続ける。
「蝶子さんに、彩芽ちゃんのご主人の事を聞いて……。ご主人の働く店に行ったら、ちょうどご主人が店から出て来て……」
「……後をつけたんですね?」
「……」
私の質問にこくんと頷き、へらへらと笑う。
「えへへ……」
「えへへじゃないですよ!そんな事する人とは思いませんでしたよ!龍生さん!」
「ごめん!嫌わないで!彩芽ちゃ~ん!」
また抱き付いてこようとする。そんな龍生さんを強引に部屋の外に出すと、思わず玄関に鍵を掛けた。
「ちょ、ちょっと!彩芽ちゃん!何で出すの!開けてよ~!」
「何となくです!もう来られても困りますから!私、人妻なんです!」
「離婚しなよ!俺と結婚しようよ!」
「するわけないでしょうがっ!帰って下さい!というか帰れ!」
ドンドンドンドンとドアを叩かれて、私は冷たく言い放っていた。