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僕の彩芽
第15章 エピローグ
――時刻は午前6時。寝室のドアがゆっくり開かれると、私は鼓動を高鳴らせる。
「ただいま、彩芽。寝てるか?」
「……お、起きてます。……おかえりなさい、秋人さん……」
ベッドへ秋人さんが歩み寄ってくると、ひょこっと毛布から顔を出す。
「寂しかったか?」
「……はい……」
ベッドの縁に腰掛け、スーツのネクタイを緩めながら秋人さんが私の頭を撫でると、キュンとした。
……秋人さんには絶対に豪のことは言えない。でも、気づくかもしれない。豪の痣だらけになった顔を見て。秋人さんが豪に「どうした?」って聞いたら言ってやろう。
『私がぼこぼこにしてやりました』って――
「秋人さん、ぎゅうしてください……」
「仕方ないな」
毛布から秋人さんに向かって両手を出して、パジャマ姿のまま抱き締めて貰う。それだけで私は幸せで、頬が緩んだ。
絶対にこの幸せだけは失いたくない。誰かに邪魔をされても。私が守る。
「私、秋人さんの奥さんですから」
そう言って私は、秋人さんを抱き締め返して微笑んだ。
fin