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SNSの甘美な罠
第4章 久々の動画
寒さで厳しくなった季節の深夜、男の手にしていたスマートフォンが震える。普段からマナーモードにしたままのせいか、着信音は鳴らなかった。
画面の上部に出た新着表示には、かつて遊んだ女からのメール受信の知らせ。
遊んでいたゲームをキリの良い所で終わらせてメールを確認すれば、本文無しで動画ファイルの添付が一件あるのみだった。
添付をタップしてダウンロードする。それはこの女と頻繁にしていた動作で、多少懐かしい気持ちが蘇る。
【ダウンロードが完了しました。 開く】
その文字が表示されたのを見て、男は“開く”ボタンをタップする。
少しの画面揺れの後に表示されたのは、首から下を全て晒け出した女の姿と綺麗に清掃されたトイレの個室内だった。
女は便器に腰を下ろすでもなく、見せ付ける様に脚をがに股で開き、自身の性器を弄び始める。左手でクリトリスを嬲り、右手は女性器の中を掻き回していた。快感に没頭していた女が身を大きく捩らせて、痙攣する。それが落ち着いて撮影していた機材に手を伸ばし、大きく揺れた後、女の口許だけが笑みを見せて動画が終わった。
男がかつて見慣れた女の自慰行為ではあったが、自宅以外の背景で行われるその行動が、男の性器を熱くさせる。
寝る前のついで、と言わんばかりに男も自慰行為に耽ろうとズボンと下着をずり下ろした所で、音声はどうしようかと悩んだ。何しろ深夜。自室とは言え音が響いては煩わしい。かと言って、今更イヤホンを探すのも手が掛かる。
男は音無しで動画を観る事にして、自慰に耽った。
もし、音を出して見ていたならば雑踏から得られる情報で女が居た場所が駅構内のトイレであり、男が通勤で利用する路線のアナウンスが聞き取れていたであろう。
自慰による快感が終了した後、男は後始末と気怠さから女に返信する事はなかった。