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イかせ屋…
第9章 再会
いつの間にかタクシーは曽我家の前に着く。
いつもよりも乱暴な昌さんに手を握られてタクシーから降ろされる。
玄関の引き戸が自動じゃないのに自動で開く。
「おかえりなさいませ…。」
顔馴染みになった怖い顔のお兄さん方が並んでる。
みんなが私の顔を見て懐かしそうに微笑む。
「あはは…、こんばんは…。」
照れくさくてお兄さん達に愛想笑いをする。
突然、荷物のように昌さんに肩まで担がれて
「ヒロ!人払いしとけ!」
と言う人拐いに攫われる。
お兄さん達に助けを求めるようにして手を伸ばしてみたけれど、お兄さん達は無言のまま慰めの顔を私に向けて合掌をした。
完全に怒ってて不機嫌な昌さんには誰も逆らう事が許されないのだという曽我家のピリピリとした空気を久しぶりに味わう。
長い廊下に昌さんの足音だけが響き、私は肩に乗せられたまま昌さんから振り落とされないようにと必死にしがみつくしかない。
ひぃぃぃ!?
初めて、この家に来た時の10倍は恐怖を感じる。
「すみません、下ろしてもらえますか?」
恐る恐ると聞いてもスルーをされる。
行き先は私が寝泊まりをしてたお馴染みの部屋。
お馴染みのフカフカのお布団。
あら、懐かしい…。
そんな感慨深い思いに浸る間もなく布団に目掛けて放り投げられる。
「痛いし!乱暴だよ!」
振り返って文句を叫びはしたもののその口を一気に閉ざさないとやばいと感じるオーラを出した昌さんが仁王立ちで私を見下ろす。
長い沈黙…。
重い空気…。
耐えられない…。
だけど今回は間違いなく私が悪いのかもしれないとは一応感じる。
このまま私はどうなるの?
私の恐怖の夜の始まりだった。