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イかせ屋…
第1章 彼氏
梅雨が明け、夏らしい爽快な朝…、爽快な気分でいつも通りに会社へと向かう。
だけど会社の前で立ち尽くす事になる。
『当社は〇月〇日をもって倒産を致しました。』
そんな張り紙が会社の扉に貼られてる。
「嘘だろ!?」
「これ、何かの冗談?イタズラかしら?」
「民事再生も無しか?」
私と同じように立ち尽くす人が口々に不平を漏らす。
給与の未払いなどなかった。
ごく普通の旅行代理店だった。
そんな会社が突然、予告もなく倒産をするなんて誰もが思ってもみなかった。
「今後については管財人って奴の連絡待ちらしい…。」
同僚の植草君が私にそう言う。
「管財人?」
「弁護士だよ。まぁ、小さな会社だったし、従業員も少なかったけれど、一応、今月分の給与と退職金とかが発生をするから、俺達は会社に対して債権者って立場になるんだ。」
「へぇー…植草君って詳しいね。」
「今の世の中、このくらいは誰でも知ってるよ。とりあえず、失業保険の手続きとか行くしかないな。」
「一緒に行ってもいい?」
なんとなく植草君について行くのが無難だとか思っちゃう。
「ああ…。」
「ありがとう。」
いつまでも会社の前に居ても仕方がなく、私と植草君が行動を開始すると何人かの顔見知りの同僚達も植草君を頼りにしてついて来る。
みんなでゾロゾロとハローワーク…。
団体さんに周囲の人やハローワークの職員の人が目を丸くするけれど、うちの会社は社長が直接に面接をしてて社長の気に入った人だけが採用をされる。
その社長の気に入った人とは
サバサバとしてて割り切りが強く挫けない人。
という感じ。
だから、倒産をしたというのに社員のみんながサバサバとしてて淡々と失業保険の手続きや再就職先の登録をしてる。