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イかせ屋…
第9章 再会
…!?
昌さんが私を真っ直ぐに見てる。
しかも、その顔は完全に怒ってるとわかる。
元々が厳つい顔…。
更に怒りで迫力を増し、その恐怖に足が竦む。
えーっと…。
あら、偶然ね?
とでも言って誤魔化そうかしら?
くだらない事を考えてる間に昌さんがスタスタと私に近付いて来る。
逃げたいのに足が竦んで動かない。
昌さんの向こうではヒロ君がお腹を抱えて笑ってる。
「何しに来た?」
低くぶっきらぼうな言い方…。
「別に…。」
拗ねたように言い返す。
昌さんがため息を吐く。
「梓…。」
昌さんが何かを言いかけた瞬間だった。
車から黒っぽい着物を着た女性が降りて来る。
「曽我さん?」
今夜の昌さんのお客様が昌さんに声をかける。
とても綺麗な人…。
なんて言うか、儚くて今にも消えそうな美しさ。
「すみません。ちょっと手違いがありまして…。」
昌さんがその人に頭を下げる。
「手違い?」
「見習いが付いて来てしまったんです。」
「なら、彼女にも見て貰えるのかしら?」
「少しだけお時間を下さい。ヒロ、千里さんを先に部屋へお連れしろ。」
そんな会話を聞きながら、見習いって私の事?とか考える。
ヒロ君がその綺麗な女性を連れてホテルに入った。
清さんが車をホテルの駐車場に向けて走らせる。
「ちょっと来い!」
昌さんが私の腕を掴んでホテルのロビーの端っこへと連れて行く。
「何、考えてんだよ?」
「別に…。なんか私に見られると困るの?」
「梓…!」
昌さんが困った顔をするから、ますます私は意地になってしまう。
こうなると、とことん嫌われたくなる。
そのくらいしないと私はずっと昌さんを求めてしまう。