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愛しき俺の半身
第4章 迷惑な女の子



星桜がそこに居ると感じる。


「星桜!」


人集りを押し退けると星桜が女性に腕を掴まれている。

他にも何人かの男や女に囲まれている。

完全にパニックの顔で青ざめた顔に涙だけを流す星桜…。


「すみません!」


星桜を女から奪うようにして抱きしめる。


「誰?」

「この子の兄です。」

「お兄さん?この子大丈夫なの?」


この大学の学生っぽい女が俺に聞いて来る。


「大学のミスコンがあるから飛び入り参加しないかと声を掛けたらいきなり泣き出して、しかも大丈夫かと肩を叩いただけで凄い悲鳴を上げるから、こっちがびっくりしたわよ?」


その女性が俺に状況の説明をする。


「すみません、妹は俺とはぐれて既にパニックだったんです。極度の人見知りもあるから、そういう反応をしてしまうんです。」


星桜はガタガタと俺の腕の中で震えている。


「まぁ、いいじゃん…。せっかく妹さんなら可愛いからミスコンが盛り上がると思って声を掛けたけど、早く他を探そうぜ。」


女性と一緒に居た男達がそう言い出した。

学生達が立ち去り、それを見ていたギャラリーも立ち去った。

俺と星桜だけがその場所に取り残されて動けない。

星桜が俺にしがみついて泣いているからだ。


「大丈夫…、星桜。大丈夫だから…。」


ひたすら星桜の背中を撫でて落ち着かせる。

杏果に携帯で連絡をして今居る場所を教える。

直ぐに怜太と杏果がやって来る。


「飲み物でも買って来てやるよ。」


怜太が俺達から離れた。

星桜が落ち着くまで時間がかかると怜太はわかっているからだ。


「すまない。」


怜太にそう言うしかなかった。



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