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愛しき俺の半身
第6章 幸せの頂点
それから毎日星桜に会いには行った。
星桜はずっと眠ったままだった。
警察にも荒木先生と行く。
刑事達の態度が変わっている。
「お母さんはずっと居なかったのか?」
「小学生の頃にはもう星桜と2人で暮らしていた。」
「なんて、母親だ…。可哀想に…。」
人なんてそんなもんだ。
自分の為にしか生きようとはしない。
それがわかっているから俺も星桜も自分の為だけに生きようとしたんだ。
俺と星桜は2人で1人だからお互いが助け合うのが当たり前だっただけで、他の人が助けてくれなくても、それはそういうものだと受け入れていた。
警察だって、殺人者の俺なんか助ける気はなかった。
今は妹を傷つけられた可哀想な兄だから、やっと助けてやるという態度に変わった。
星桜を傷つけた男は母親の恋人…。
働かない男…。
あの日の母親は、男と2人で生活をする金をうちに探しに来たと供述をした。
最悪の時は俺に金を借りようとしていたとか刑事が呆れた顔で言う。
家には先に男が来て、ソファーで疲れて眠っていた星桜を襲ったと意識が回復した男は自分の罪を認めた。
その男が逮捕されると俺の立場が一気に逆転をした。
殺人者から可哀想な子へ…。
別に可哀想じゃない。
母親が居ない方が幸せだった。
星桜と2人で俺は幸せだった。
誰にも助けて貰う必要はなかった。
一週間後、親父に会った。
「必ず、離婚する。お前達に必要なものがあるなら全て用意をしてやる。本当にすまなかった。」
眠り続ける星桜の小さな手を握りながら親父が泣いていた。
親父は嫌いじゃない。
だけど、この人だって自分の為にしか生きようとはしなかっただけだ。
本当に俺達の事を思っていたのなら海外で引き取るべきだったのに星桜が普通じゃないからと、それを拒んだ結果があの暮らしだった。