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八咫烏
第1章 灯火
彼等が所々の大名とは大きく違う所があった。
それは専制君主制ではなく、共和政体と言うこと。
一人の大名が町を治めるのではなく、町の権力者達が合議し町を治めていた。
いくつかの権力者達は、大きく二つの派閥に別れていた。
鈴木家が中心となっていた雑賀衆。
そして真理恵が住む寺がある太田党。
二つの派閥は仲が悪い訳ではなく、あくまでいくつかの有力者が集まって政治を進めていく内に海側と山側で主張が食い違う事が多く、自然と派閥になっていったのだ。
真理恵の父親は佐太夫の片腕であり多くの戦果をあげたが、真理恵が幼い頃に戦で亡くなった。
そして後を追うように母親も病気で失った真理恵は、太田党の寺に預けられそこで育ったのです。
現孫一である佐太夫は、真理恵を実の娘のように可愛がり、真理恵もまた実の父のように慕っていた。
小さな頃から父が軍義のために佐太夫の所に行くとなると『私も孫おじさんの所行く!』と我が儘を言い、困り果てた父は真理恵を連れて軍義に出向いていたのです。
佐太夫の屋敷に行くと真理恵は軍義が終わるまで、重秀や兄である重朝と遊びながら待つという光景が良く見られた。
翌朝
『佐太夫おじ様…無事に帰ってきてね…』
佐太夫「なーに大丈夫さ。わしには弾に当たらない特製のお守りがあるからな。ガッハッハ」
佐太夫「重朝、重秀、あとは頼んだぞ」
そう言うと佐太夫は愛銃を肩に戦に向かった。
真理恵『お守りってなんだろうね?シゲちゃん知ってる?』
重秀「親父殿も兄貴も教えてくれないんだ」
重朝「お前が戦に出るときに教えてやるよ、その時はおまりもよろしく頼むね」
真理恵の肩を叩き、ニコッと微笑んだ。
真理恵『シゲちゃんも、重朝さんも戦に出るときは私が作ってあげるね!』
真理恵も微笑んだ。
重秀「親父殿、戦が増えたな」
真理恵『そうだね…』
「本願寺様からの依頼が増えたらしい」
『シゲちゃんも戦に出たいの?』
「そりゃ俺だって孫一の名を継ぎたいし、村の為にも早く戦に出たい」
重秀は折れた木の棒を火縄に見立て撃つ仕草をした。
『そっか…』
戦で親を亡くした真理恵は少し哀しそうに重秀を見つめていた…
それは専制君主制ではなく、共和政体と言うこと。
一人の大名が町を治めるのではなく、町の権力者達が合議し町を治めていた。
いくつかの権力者達は、大きく二つの派閥に別れていた。
鈴木家が中心となっていた雑賀衆。
そして真理恵が住む寺がある太田党。
二つの派閥は仲が悪い訳ではなく、あくまでいくつかの有力者が集まって政治を進めていく内に海側と山側で主張が食い違う事が多く、自然と派閥になっていったのだ。
真理恵の父親は佐太夫の片腕であり多くの戦果をあげたが、真理恵が幼い頃に戦で亡くなった。
そして後を追うように母親も病気で失った真理恵は、太田党の寺に預けられそこで育ったのです。
現孫一である佐太夫は、真理恵を実の娘のように可愛がり、真理恵もまた実の父のように慕っていた。
小さな頃から父が軍義のために佐太夫の所に行くとなると『私も孫おじさんの所行く!』と我が儘を言い、困り果てた父は真理恵を連れて軍義に出向いていたのです。
佐太夫の屋敷に行くと真理恵は軍義が終わるまで、重秀や兄である重朝と遊びながら待つという光景が良く見られた。
翌朝
『佐太夫おじ様…無事に帰ってきてね…』
佐太夫「なーに大丈夫さ。わしには弾に当たらない特製のお守りがあるからな。ガッハッハ」
佐太夫「重朝、重秀、あとは頼んだぞ」
そう言うと佐太夫は愛銃を肩に戦に向かった。
真理恵『お守りってなんだろうね?シゲちゃん知ってる?』
重秀「親父殿も兄貴も教えてくれないんだ」
重朝「お前が戦に出るときに教えてやるよ、その時はおまりもよろしく頼むね」
真理恵の肩を叩き、ニコッと微笑んだ。
真理恵『シゲちゃんも、重朝さんも戦に出るときは私が作ってあげるね!』
真理恵も微笑んだ。
重秀「親父殿、戦が増えたな」
真理恵『そうだね…』
「本願寺様からの依頼が増えたらしい」
『シゲちゃんも戦に出たいの?』
「そりゃ俺だって孫一の名を継ぎたいし、村の為にも早く戦に出たい」
重秀は折れた木の棒を火縄に見立て撃つ仕草をした。
『そっか…』
戦で親を亡くした真理恵は少し哀しそうに重秀を見つめていた…