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告白の向こう側
第1章 告白の向こう側
「はぁ……」
ここ最近、私の心は沈みがち。
原因は分かっているんです。
「おい、雅(みやび)」
私の名前は、福原 雅(ふくはら みやび)。
「社長、おはようございます」
私は背筋を伸ばすと、深くお辞儀をした。
「また朝から馬鹿丁寧に頭を下げなくてもいいって……。それより、昨日頼んだ資料、できてるか?」
「はい、こちらに」
このスーツ姿の男性────川上靖友(かわかみ やすとも)社長。彼は私の雇い主であり、私の仕事上での相棒です。
「ありがと。お前は本当に仕事が早くて助かるよ」
「いえ。それと一つ別件が」
「どうした?」
私はデスクにあるメモを引っぺがしてその場で読み上げる。
「〇〇商事の中川様より、近日中に一度お会いしたいとお話がきております」
「……そうか」
私の言葉に、川上様はあまり嬉しくなさそうな表情。
「……よろしければお断りの連絡、私から差し上げても──」
「いや、いい。俺から連絡する。とりあえず一度、会ってみる」
「……かしこまりました」
そう────実は社長には最近、婚約のお話が次々と舞い込んできています。