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第1章 失われた時間

あの人に、もう一度会いたい。

会ってどうするのだろうか…
彼には彼の人生がある。
彼から私に会うことが出来たはずの期間、彼が私を訪ねてくることはなかった。

それが、彼が出した答えなのに、私だけが彼の想い出にすがっているのではないか…

一つの建物をチェックして、電車が無くならないうちに帰らなければ…

焦燥感にかられ、１週間の疲れを体に纏う私に、追い討ちをかけるように雨が降ってきた。

山の、故郷の天気じゃあるまいし…

私は手のひらを上に向け、天を仰いで雨を見て、信号待ちをしていた。