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アゲマン!
第10章 幸せの謎

龍平が居ないひと月近くを沙那が沙那なりに必死だったのだと龍平にはわかる。
灰皿、酒、龍平の為の料理…。
可愛げのない事を言って強がりを必死に見せる沙那が龍平の好みに必死になる姿は龍平からすれば可愛いだけだ。
「笑ってないで、チキンを切ってよ。」
沙那がナイフを龍平に渡す。
「任せろ…。」
器用にナイフを使いこなしてチキンを綺麗に切り分ける。
龍平が料理をするような男には見えない。
龍平が借りていると言った部屋はゴミだらけで料理なんかやっているようには見えなかった。
それでもナイフの使い方には龍平は慣れている。
その謎を解く為に質問をしたいが、今は止めておこうと沙那は思う。
明日、全てを教えてくれると龍平が言った。
ならば今質問をしても龍平の口が重くなるだけだ。
今は龍平とクリスマスを楽しむと沙那は考える。
「美味しい?」
「ああ…、初心者にしてはな。」
「初心者じゃないわよ!」
「このチキンの味付けはリンのレシピだろ?」
「えーっ…、バレた?」
そうやってたわいない会話で龍平とのクリスマスを楽しむ。
「食い過ぎた…。」
チキンを半分は食べた龍平が言う。
「よく、そんなに入るわね?」
「このひと月、まともな飯が食えなかった。」
龍平の言葉に不安になる。
「私のせい?」
「俺の実力不足…。」
沙那の手を握り、沙那の手にキスをする。
リンは龍平をアメリカ人だと言った。
こういう、扱いに慣れていない沙那…。
「片付ける…。」
テーブルを立ち上がった瞬間に龍平に引き寄せられる。
「後でやれ…。」
沙那の口にタバコとバーボンの香りが広がった。
沙那が求め続けた香り…。
沙那が2度と離れたくない香りの中で沙那はベッドに運ばれる。
今夜は寝かせて貰えない?
沙那の期待に応えるように沙那の手をベッドに押し付けた龍平が沙那の身体に重なった。
聖なる夜は沙那の喘ぎとベッドの軋みだけが響くという夜だった。

