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アゲマン!
第2章 追加される謎
そして、真希の口から出された答えは
「残念だけど沙那さんのお母さんの事は全く知らない。僕はこの店に行けと言われただけだから…。」
というものだった。
不安を感じながらも沙那は自分が知りたい事を真希に聞かない訳にはいかない。
「誰に?」
「うーん…、それを知りたいなら、今すぐにこの店を閉めて、僕と個人的に付き合ってくれる?」
「それは…。」
いきなり初対面の人に付き合えとか言われても、沙那にはますます混乱をするだけだ。
「沙那さんが僕を選ぶなら、沙那さんの疑問に多分、答えてあげる事が出来るよ。」
まるで駆け引きを楽しんでいるような真希に少し沙那は嫌悪感を感じた。
見えない切り札をチラつかせて沙那の足元を見るようなやり方が気丈な沙那には許せない。
母親の謎は自分自身で解いてやる。
そんな気持ちが湧いて来る。
「また、この店が開いてるなら来るよ。だけど出来ればこの店じゃないところで沙那さんに会いたい。その気になったらその名刺のところに連絡をくれればいいよ。」
最後まで真希は笑顔を作り、店を出て行った。
「ねぇ…、もしかして、このお店って真希さんみたいな男の人が次々に現れて、その人達の中から沙那が好きな人を選ぶってお見合い用のお店じゃない?」
美春が微妙な顔をして沙那に聞いた。
もしも、それが事実なら、沙那からすれば悪趣味な母親のとんでもない遺産だと思うしかない。
一体、この店はなんの為に理奈が用意をしたのか?
その全てを知っているのは真希ではなく、一番初めに来た男なんだと沙那は感じた。
だから、もう一度だけあの男に出会えたらこの店を閉めようと沙那は心に決めたのだった。