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アゲマン!
第2章 追加される謎
真希はそれまでの雰囲気とはガラリと変わり沙那を真っ直ぐに見た。
「そうだよ。だから、この店に来たんだ。川中 沙那さんを探しにね。」
真希の言葉とその態度に沙那も美春もこの店を開けている理由をやっと思い出す。
「それって…、どういう意味ですか?」
好奇心の強い美春が沙那よりも先に真希に尋ねた。
「さぁ…、僕が知っている事はこの店に来て沙那さんに選ばれる男になれと言われただけなんだ…。」
狭いカウンターの向こうから真希が突然、カウンターの中に居た沙那の手を握る。
沙那の手の甲をゆっくりと真希の親指が撫でていく。
「僕以外の男は…、もう誰か来たの?」
目を細めた真希が沙那を問い質すように言う。
沙那は一瞬、背筋がゾクリとした。
爽やかな笑顔のままの真希。
笑顔に反したその目はまるで沙那を品物のように見つめている。
それはこの店の棚にある酒のボトルを見ているような目だった。
「1人だけ来ましたよ。その人に聞きたい事があるから店を開けているんです。」
美春がそう言った瞬間、沙那は真希が握る手から逃げるようにして美春の後ろへと下がった。
「そう…、僕以外にも来た奴が居るんだ。」
それだけを言うと真希がカウンターの席から立ち上がった。
「いくらかな?」
そう聞いた真希に沙那は
「千円です…。」
とだけ答えた。
真希も前回の男と同じ程度にしか飲んでいないからだった。
真希が財布から丁寧に千円札を出す間に沙那は
「私の母の事を知っているのですか?」
と聞かずにはいられない。
真希は爽やかな笑顔をまた沙那に向けたがその目が怖くて沙那は目を逸らしてしまった。