この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アゲマン!
第3章 更に深まる謎
明らかに沙那よりも1枚も2枚も上手の大人の対応をする男に沙那は苛立ちを隠せないままだ。
真希に連絡をして聞いた方が早いか?
だが、話を聞くなら真希よりもこの男の方がいいなとか沙那なりに感じてしまう。
真希には不審な下心を感じる。
沙那の足元を見ているといういやらしさが沙那は気に入らない。
この男はそういう事はしない。
ただ、沙那に必要な事を教えているという感覚だけが伝わって来る。
水商売という世界で男を自分の手の平で遊ばせろ。
それが出来ないのなら謎解きは諦めて辞めてしまえ。
そんな風に沙那に助言をしているように感じる男の態度の方が箱入り娘だった沙那には信用が出来る相手に見えてしまう。
今の沙那には男を手の平で遊ばせて自分の聞きたい事を聞き出すようなテクニックなんか持ち合わせていない。
そもそも、そこまでのテクニックを身につけるには、そういった店で何年も雇われて働いて身につくテクニックだ。
たかが2週間ほどお遊びで店を開けた沙那に身につくはずのないテクニック…。
だから沙那は苛立ってしまう。
沙那の苛立ちを他所に小一時間が過ぎ、男が千円札を無造作にカウンターの上に出すと
「ごちそうさん…。」
と言って立ち上がった。
このまま男を帰せば、またしても謎は謎のままで終わってしまう。
沙那は店を出る男の後を追いかける。
「沙那!?」
美春の声を無視して沙那は男が乗ろうとしたエレベーターに無理矢理に乗り込んでいた。
「お見送りか?」
男がニヤニヤとして沙那を見た。
沙那はただ必死なだけだった。
「お願い…、なんでもいいの!母の事で知っている事を教えて下さい!」
男のミリタリージャケットを掴み沙那は自分の気持ちを必死に男へ訴えた。