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アゲマン!
第3章 更に深まる謎
「何…、ここ…。」
ある意味、潔癖なところがある沙那はこの部屋に入る事に躊躇いを感じる。
「俺の事務所兼住居。」
事務所であるという部分は何となく理解が出来なくはない。
しかし、これが住居となると汚れたキッチンと汚れた応接しかないこの部屋でどうやって暮らしているのかと聞きたくなるような有り様だ。
「そもそも、貴方、何者?」
恐る恐るとその部屋へと沙那は踏み込んだ。
男が土足のまま入った以上は土足のままで良いのだろうと思う。
汚れたソファーに腰掛ける気にはならず窓際に立つ男のそばへと沙那は近寄った。
「ああ、今は探偵ってやつをやっている。」
男はタバコに火を付けながらくぐもった声でそう言った。
見た目は子供、頭脳は大人で同じみの探偵とは随分とイメージが違うと沙那には感じてしまう。
「探偵?」
だから疑うように男に聞いてしまう。
「近田 龍平(りゅうへい)、お前の母親に雇われた探偵でボディーガードだ。」
タバコの煙を吐き出しながら龍平は面倒臭そうに沙那に答えた。
「なんで母さんが貴方を雇ったのよ?」
「お前がレイプされたら困るからだろ?」
「なんで私がレイプとかされんのよ!?」
龍平は何度もレイプ、レイプと繰り返すが沙那からすれば早々、簡単にレイプをされるつもりも、その予定もない。
なによりも龍平が困惑をする沙那を呆れたように見る目が気に入らない。
「ちゃんと説明をしてよ。一体、母さんに何を頼まれたの?なんで私にボディーガードなんか必要なの?大体、あの店は何の為に母さんは遺したのよ!?」
沙那は半分狂いそうな声で叫んだ。
「雇われた理由はお前が男達に襲われる可能性があるからだ。襲われる理由はお前がアゲマンという理由かららしいがな…。」
龍平はタバコを吹かしながら、沙那から目を逸らし窓の外を見ながらそう言った。