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アゲマン!
第3章 更に深まる謎
沙那の足が恐怖でガタガタと震える。
「まぁ、眉唾物の話だから今日はその確認に来ただけだ。別に彼女を無理矢理にまでどうこうするつもりはない。」
そう言った冷たい男はエレベーターに乗り込み、この場から立ち去った。
「沙那…、おい、沙那?」
ミリタリージャケットの男が沙那の顔を撫でて確認をする。
「なんなんですか!?一体、なんなんですか!?」
いくら気丈な女の子とはいえ、世間知らずのうら若き女の子だ。
涙を流し、自分が置かれた状況をさっさと説明をしてくれと言わんばかりに男にしがみつき喚いていた。
「だから、危険だと忠告はしてやったろ?」
男は泣き喚く沙那に呆れたように言う。
そんなに危険なら、もっと具体的に説明をしてよ!
沙那がそう言いたい気持ちにお構いなく、男は沙那をエレベーターに乗せてビルを出た。
「ひとまずは、こっちだ。」
そう言った男が沙那を連れて行ったのは沙那の店があるビルの道路を挟んだ向かい側にあるビルの5階だった。
こちらは1階が居酒屋で、その上は怪しげな事務所であったり、本当に人が住んでいるのか?と聞きたくなるような住居になっている。
エレベーターはなく、階段で5階までを上がり運動不足の沙那が少し息切れをする中、男は古く錆びた鉄の扉を開いていた。
玄関…と呼べるのかすらわからない部分から、いきなり部屋全てが見渡せる部屋…。
何かの事務所と言えない事はないが、沙那の第一印象は
汚い!
の一言に尽きる部屋だった。
入り口のすぐ横にあるキッチンの流しには汚れたマグカップやグラスがそのまま無造作に積み上げられており、部屋の真ん中にある応接のテーブルの上にはタバコがもう入り切らないほどに詰め込まれた灰皿がある。
何よりも流しの前に溜まったゴミ袋…。