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アゲマン!
第4章 答えが謎
しばらくの沈黙…。
アゲマン…。
揚げたお饅頭…。
そんなものになった覚えはない沙那…。
「私が…、何…?」
もう一度、龍平に問い質す。
龍平は窓を開け、タバコを外側の壁で揉み消すと適当にあったゴミ袋の中へと放り込んだ。
「ちょっと!?火事になるでしょ!?」
沙那は慌てて応接のテーブルにあった灰皿をキッチンの流しで洗う事にした。
ついでだからと汚れたまま積み上げられていたグラスやマグカップも洗う事にする。
洗い物をする沙那の背中に向かって龍平が少しずつと話を始めた。
「お前の母親、川中 理奈が俺のところに連絡をして来たのは1年ほど前だ。」
龍平はその頃はアメリカで仕事をしていた。
「日本でどうしても守って欲しい子が居るからと依頼をされたんだ。」
理奈からは一方的に経費と日本行きの飛行機のチケットが送られて来た為に龍平は仕方がなく日本に一時帰国をした。
「俺だって、お前の母親の話は全く信じられない話だったさ。」
龍平がまたタバコに火を付けた為に沙那は慌てて龍平の前に洗ったばかりの灰皿を差し出した。
「母さんはなんて言ったの?」
「お前はアゲマンで男達が争ってお前の奪い合いを始める。馬鹿な奴はお前をレイプしてでも手に入れようとするだろう…。だから娘を守って欲しい。それがお前の母親の依頼内容だった。」
「そのアゲマンって何なのよ!?」
流しの中の洗い物が終わった沙那が振り返る。
そこには嫌な事を聞くなと言わんばかりの顔をした龍平がその顔を赤らめているのが見えた。
「アゲマンはアゲマンだ。しかもお前の場合は究極のアゲマンらしい。」
龍平はそう言うが、年頃の女の子に向かってアゲマン、アゲマンと連呼されても沙那はますます龍平の話を疑うだけだ。