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アゲマン!
第4章 答えが謎



また、しばらくの沈黙…。

龍平が肺の奥までゆっくりとタバコの煙を吸い込む。


「正直に言うなら俺だってお前の母親の話は半信半疑だったから夕べは試したんだよ。」


龍平がタバコの煙を口を尖らせて吐き出した。

夕べ、試した…。

夕べのキスを思い出した沙那は思わず龍平から目を逸らす。


「これは今日買った奴…。」


龍平は沙那の前に小さな紙切れのようなものを投げ出した。


「何…、これ?」

「馬券。」


馬券くらいは沙那がいくらお嬢様育ちとはいえ知っている。


「だから、この馬券が何なのよ!?」


だんだんと龍平との話にイライラとしてしまう。


「だから夕べはお前とキスしたろ?んで、試しに馬券を買ってみた。あくまでも千円だけの適当買い。なのに15分後にはその馬券が万馬券になって10万が俺の手元に返って来た。」


龍平の話に唖然とする。

そんな偶然程度の話でアゲマンとか言われても…。


「お前自身には自覚とかないのか?今まで付き合った男が急にラッキーになったとか大富豪になったとかなかったのか?」


龍平の言葉に沙那はなんとなく初恋であった草太の事を思い出す。

沙那とキスをしたすぐ後から草太は人が変わったようになっていた。

まさか…、そんな事はないはず…。

そんな簡単にこの話を信用なんか出来る訳がない。


「私とキスをすれば、誰でもラッキーになるなんて有り得ないわよ…。」


当然、沙那はこの話を否定する。

龍平の方は沙那とは意見が違うらしい。


「キスだと大した効力がないらしい。しかも、お前が相手の男に反応が薄ければ薄いほどに効力は薄れるとお前の母親は言っていた。」


タバコを灰皿で揉み消しながら、龍平は沙那からまた目を逸らした。


「大体、なんでそんな事になるのよ!?」


沙那はこの話の根本から納得が出来なかった。



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