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アゲマン!
第5章 可愛げのない謎
「ずーるーいっ!」
浮かれる沙那に反して親友の美春は不機嫌だ。
沙那が例の謎の男、龍平と美春の知らないところで接触をし、理奈の遺した謎の一部が解けたという話を美春が沙那から聞いたのは休日明けの月曜の学校での事だった。
「だって…、仕方がなかったんだもん。」
沙那は美春に何度も言い訳をするが美春が納得をしない為に、金曜の夜は美春の好物であるオムライスを沙那が作るという約束で美春は沙那の家に泊まりに来ている最中だ。
「アイスもあるよ。」
ひたすら美春の機嫌を取るように言う。
「当然、食べるわよ。」
美春は大きな目をくりくりとさせて沙那を上から目線で見る。
それでも美春は憎めない。
美春は同じ女性である沙那の目から見ても可愛らしく、愛嬌のあるタイプの女の子だ。
「それで、来週の3連休に沙那だけイケメン男と旅行なの?」
美春の言葉に沙那は飲みかけのジュースを吹き出した。
「旅行じゃないから!龍平さんには母さんの実家に連れて行って貰うだけだもん…。」
本当は沙那だって龍平との旅行には少し淡い期待をしている。
「ふーん…、奥手の沙那ちゃんがイケメン男の旅行で何もないとかあるの?」
美春は少し意地悪に笑う。
「何もないって…。」
「沙那にはなくとも、龍平さんには下心があるかもしれないじゃん?だって…、沙那って究極のアゲマンなんでしょ?」
「その究極のアゲマンって止めてくれる?」
「にわかには信じられないけど、それが原因で真希さんとかあの店に現れたんだから、受け入れるしかないんじゃない?」
それは美春の言う通りである。
だからこそ沙那は今まで以上に恋愛には慎重にならなければならないと思うとため息が出た。