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アゲマン!
第6章 恐怖の謎
窓の外は暗闇の海が見える船内の大浴場…。
朝なら綺麗な海が見れるらしいが今は生憎の夜。
団体客が居る為にゆっくりと入るという気分ではなかったが、半日を車で強引に移動をした身体には、やはりお風呂は気持ちがいいと感じる。
丁寧に身体を温めてから、お風呂を上がり、着替えを済ませて髪を乾かす。
龍平と2人っきりになれば緊張をするからと結構な時間をこのお風呂で費やした沙那が大浴場の出口に向かうと船内通路の壁にもたれて沙那を待つ龍平が居た。
「先に部屋に帰ってくれてて良かったのに…。」
「一応、ボディーガードだからな。」
龍平はそれだけを言うと部屋に向かって歩き出す。
途中の自動販売機の前で龍平が立ち止まる。
「なんか飲むか?」
沙那がジュースを選び
「部屋に戻る前に喫煙所に行かなくていいの?」
と笑いながら聞いた。
「行く…。」
タバコに関しては子供みたいな返事をする龍平に沙那がクスクスと笑う。
「なんだよ…?」
「別に…?」
2人で笑いながらじゃれ合う姿を見た他の乗客は仲が良い恋人同士に見えただろう。
龍平は沙那を守る為に沙那を真っ直ぐに見ているから他の乗客なんか目に入っていない。
沙那の方もそんな龍平にときめいてドキドキとしながら龍平をチラ見するので精一杯だったから他の乗客の視線を気にする余裕などはなかった。
無事に龍平が喫煙を済ませると沙那はやはり緊張をする。
龍平の方は沙那の緊張を感じていないのか、普通に船内の通路を客室に向かって歩き出す。
「さ…、散歩でもしない?」
「今からか?」
もうすぐに日付けが変わるという時刻。
船内は消灯ムードで暗闇しかない夜の海の上を走り続ける。
そんな状況で散歩をするには不自然極まりないという事に沙那が気付き赤くなる。