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アゲマン!
第6章 恐怖の謎
次に沙那が目を覚ますと、そこはふかふかとした柔らかい、かなり上等なベッドの上だった。
何をされたの!?
その恐怖に飛び起きる。
そして、沙那の本当の恐怖の始まりはここからだった。
沙那が着ていたワンピースは一応そのままだ。
龍平が付けた腕時計も別に何もされてはいない。
ただ、沙那が寝かされているベッドのある部屋は壁が石を積み上げて出来た壁であり、木の格子で出来た檻が出入り口であるというとんでもない場所だった。
「何…!?ここ!?」
映画やドラマくらいでしか見た事がない牢屋…。
石壁の3メートルほど頭上に小さな窓が見える。
窓の外は暗闇。
龍平がくれた時計は夜の8時を示している。
6時間近く意識を失っていた。
それだけでも充分に恐怖だというのに、沙那はいわゆる座敷牢という場所に監禁をされている。
「ねぇ!出して!聞こえる?ここから出して!」
ありったけの声で木の檻の向こうへと叫んでみた。
檻の向こうの石壁の通路の角に人影が見えて来る。
「お願い!出して!」
その人影にもう一度叫ぶ。
人影は千恵だ。
「食事…。」
巫女装束で無表情な千恵が沙那の居る座敷牢の檻の下からご飯や焼き魚が乗ったお盆を差し出して来る。
「ねぇ!千恵さん…、なんでこんな事するの?ここから出してよ!」
「それは出来ない…。」
「わかってるの?これは監禁よ!」
「ええ、でも沙那さんは巫女だから…。」
無表情なまま答える千恵に沙那は自分の言葉が通じていないと理解をする。
「ここは何!?」
「巫女がお務めを果たす神聖な場所よ。だから、ここは本物の巫女である沙那さんの為のお部屋…。」
無表情だった千恵がうっとりとした恍惚の笑みを浮かべた。
沙那はその顔に恐怖を感じて背筋に冷たいものが走る。
狂ってる…!?
母親がこの屋敷から家出をした理由の謎が少しは解けたような気はする。
だがそれは沙那には恐怖以外の何ものでもなく、沙那は母親の理奈と同じようにこの屋敷から逃げ出す事を考えるだけで頭がいっぱいになっていた。