この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アゲマン!
第6章 恐怖の謎
淡々と話す理恵と無表情の千恵に、沙那は思い描いていた親族との感度の再会はないのだと判断をした。
沙那の前にお茶が出され、理恵が一方的に沙那への質問を繰り返す。
「今は、どこに?」
「関東です。」
「父親は?」
「いません…。」
「ここの事は理奈から聞いていたの?」
「いいえ…、母が亡くなってから聞きました。」
淡々と続く質問責めに沙那はチラチラと時計を見る。
龍平との約束は1時間…。
後15分程度で1時間…。
お茶を飲みながら理恵の質問に答え続ける。
「うちは代々、巫女の家系なの…。今は高校を出て千恵がその役目を引き受けているわ。」
「千恵さんが…。」
無表情なままの千恵を見たが千恵は沙那達の話には全く興味がないように見える。
「千恵は今22歳…。沙那さんは20歳なのよね?」
「はい…。」
「もしかして、自分の体質を理解した上でここに来たのかしら?」
「体質ですか?」
惚けたフリをした。
さすがに沙那もこの屋敷の異様な雰囲気に母親が家出をしてまで逃げ出した理由が理解出来るような気がして来た。
「そうよ…、巫女としての体質…。それは神聖なものでとても重要なもの…。」
理恵の言葉にエコーがかかる。
そろそろ龍平との約束の時間だ。
「すみません…、私…、今日は帰ります。また…。」
日を改めて出直すと言うつもりで沙那は立ち上がろうとした。
視界がボヤけている。
身体の自由が効かない。
何…?何が起きているの?
必死に考える沙那の視界が真っ暗になる。
「貴女が本物の巫女よね…。沙那さん…。」
理恵のそんな言葉を最後に沙那の意識がなくなった。