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アゲマン!
第7章 また増えた謎
「食べないの?」
無表情な千恵に聞かれる。
出されたお茶を迂闊に飲んだせいで座敷牢に監禁をされてしまった沙那が、こんな場所で出された食事をほいほいと食べる訳がない。
「ねぇ、私のバッグを返して…。」
外にいる龍平になんとか連絡をして助けに来て貰わなければ…。
沙那の頭は無表情な千恵を見る事を拒否し、龍平が来る事ばかりを願ってしまう。
「ここに居ればいいのよ…。沙那さんは本物の巫女なんだから、みんなが大切にしてくれるわ。」
千恵が言う言葉を聞きたくなかった。
この座敷牢で巫女が男と1夜を伴にする。
その役目を多分、今まで千恵が行って来たのだ。
巫女が感じれば感じるほど男の望みを叶える。
ならば感じなければ、自分が下手だから巫女を感じさせる事が出来なかったと望みが叶わなくとも男達は納得をする。
千恵の無表情はその象徴なのだと思う沙那には恐怖と哀しみしか千恵に湧いて来ない。
「ふふふ…。」
無表情だった千恵が少し笑う。
自分の巫女としての役目が終わったという解放感からの笑いなのか?
千恵が立ち去り、沙那はひたすら恐怖の中で震え続けるしかなかった。
ここに来る男に監禁をされていると訴えて助けを求めたとしても、ここに来る男は巫女の能力目当てで来る男である以上は、救いの手を差し出す男はきっと存在をしない。
今は千恵が巫女をしていると理恵が言った。
ならばその前は理恵が巫女だった。
母さんが逃げたから…!?
本物の巫女と千恵は沙那を呼んだ。
理恵の時の本物の巫女、理奈は逃げたから理恵がその代わりを務めた。
そんな風に理奈が恨まれている状況に身内だからとノコノコとやって来た自分を呪いたくなる。