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アゲマン!
第7章 また増えた謎
なのに、沙那は落ち着かない。
龍平と僅か1時間ほど離れただけで、あの恐怖を味わった。
しかも、身内からという仕打ちに沙那が立ち直るのにはかなりの時間を要するという精神状態。
そんな沙那をなんとか立ち直らせようと龍平は龍平なりに努力中らしい。
「そんなに俺が恋しかったか?」
からかうように沙那に言う。
昨日までの沙那なら、ふざけるなと可愛げのない答えを返したはずだ。
今の沙那は龍平のミリタリージャケットにしがみつき、震えて怯えるだけだった。
「そういう顔すんなよ…。」
沙那のらしくない態度に龍平は少し苛立ってしまう。
気丈な沙那だから一晩くらいなら大丈夫だろうと龍平は判断をした。
本当に沙那が危険だと判断をすれば駐在抜きでも川中邸に突入をするつもりであった。
ただ、相手が曲がりなりにも沙那の身内であるという事と、今回こういう形で川中家に対して沙那に手を出す事は不可能だと知らしめる必要があったから一晩という時間をかけただけだ。
「沙那…。」
自分の腕の中で震え続ける女を龍平は無条件で可愛いと感じる。
自分が絶対に守るべき存在なのだと龍平の本能がそうさせていた。
沙那の髪を掻き上げて、沙那の頬にキスをする。
龍平は沙那にゆっくりとキスを繰り返す。
「龍平…さん…。」
かろうじて言えた沙那の唇にもゆっくりと優しく龍平が唇を重ねた。
今までの荒々しい龍平ではなく、これ以上は沙那を怖がらせたくないような龍平の優しいキスだった。
「俺が居てるから怖がんな。沙那は俺だけを感じればそれでいいんだ。」
沙那に言い聞かせるように龍平が言う。
龍平は沙那が恐怖を忘れてしまうようなキスで優しく深く感じさせながら沙那を溺れさせた。