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アゲマン!
第2章 追加される謎



母親、川中 理奈の葬儀を終え、一週間という時が過ぎた。

沙那は普通に学校へ行き、毎日のように美春と2人で母親が残した謎を話し合う。


「とりあえず、あの地図の場所にあの鍵を持って行くのがミステリーの常套手段じゃない?」


美春が尤もらしい意見を述べた為に、この週末の沙那は美春とその地図の場所へと向かった。

地図の場所とは沙那が住む町から駅でなら4駅先にある町だ。

土曜日の昼間だというのに人通りがほとんどなく、閑散とした町…。

それもそのはずだ。

この町のメインストリートは飲み屋ビルが立ち並ぶ飲み屋街…。

沙那達が住む住宅街とは違い、夜が主役の町である。

駅前には何軒かのパチンコ屋があり、安物の食堂やラーメン屋がある以外は、昼間は他の店が全て閉まっているのだから、人通りなんかある訳がない。

せいぜい、居酒屋と寿司屋が準備中の札を上げているくらいしか、人の気配を感じない町で沙那と美春のような若い女性は途方に暮れる。

地図にある印の場所がわからないのだ。

人に聞こうにも、その人すら居ない町…。

こんな町に学生のうら若い女性が来る事はまずはない話だ。

苦学生でアルバイトをする子ならまだしも、沙那や美春はお嬢様学校の子だ。


「夜まで待つの?」


沙那よりも更にお嬢様な美春が不安な顔をする。

美春は社長令嬢だ。

自由奔放に育てられた美春だから、多少ははっちゃけた部分を持ち合わせてはいるが、短大を卒業すればお見合いをして適当な家柄の相手と収まるという未来がある娘だから、本来ならこんな町で謎の場所を探す必要のない身分と言える。

幸いな事に、悩む沙那と美春のそばを配達に来た酒屋のバイクが停まった。


「このビルなら、その通りの真ん中だよ。」


中年でこの辺りの店に長く配達に来ている酒屋は町に詳しく、すぐに沙那達の目的地を教えてくれた。



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