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アゲマン!
第2章 追加される謎

酒屋の配達員が教えてくれたビルは明らかに飲み屋ビル…。
7階建ての鉛筆のように細いビルでワンフロアに店が一軒ずつしかないビルだ。
ビルの看板を見ていた美春が看板を指差した。
「5階に『Locate』ってあるよ…。」
母親が残したメッセージを見つけた気分になる。
エレベーターは昼間でも使えるとわかり、2人は5階へと向かった。
エレベーターを降りた先は小さなフロア…。
奥には鉄の非常扉があり、右手には重々しい木の扉がある。
後はぐるりと壁に囲われた殺風景なフロアで沙那と美春は緊張に身体を強ばらせた。
木の扉の上には紫の看板に白い文字で『Locate』と間違いなく書いてある。
扉には会員制のプレート…。
「このお店に沙那の求める人が居るって事?」
そう聞いた美春が扉に手を掛けたが扉は固く閉ざされている。
「やっぱり、夜に出直すしかないのかしら?」
沙那が美春に意見を求める。
「ねぇ…、あの鍵は?」
「あるわよ…。」
「まさか、このお店の鍵って事はないよね?」
美春の言葉に沙那はなんとなく試してみたい好奇心が湧く。
鍵をバッグから出し、その木の扉へと差してみる。
カチャッ…
「開いちゃった…。」
「入ってみようよ!」
美春が目を輝かせた。
美春は少し怖いもの知らずな部分がある。
それに対して沙那は気丈な割には怖がりである。
「美春…。」
「鍵が開いた以上は入れって意味でしょ?」
沙那は美春が一緒で良かったとつくづく思う。
沙那1人だと、この段階で諦めて帰っていたに違いない。
2人で扉の取っ手を握り、2人でゆっくりとその扉を開けてみた。

