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アゲマン!
第8章 落ち着きのない謎
美春はどう説明をしていいのやらと困った顔をした。
「アゲマンだからって何でもかんでも望みが叶う訳じゃなくて、欲が強ければ強い人こそ必死に巫女を感じさせるからこそ、その欲が叶うんじゃないかと思ったんだ。」
「なるほど…。」
「つまりはさ、その欲を巫女の力でって他力本願にする男と自分の実力で勝ち取ろうとする男の違いを見極めろって、おば様は遺言を残したんじゃない?」
美春の尤もな意見は納得がいく。
「なら…、どうしたらいいの?」
「龍平さんが好きなんでしょ?だったら当たって砕けて来なさいよ!」
当たるのは構わないが砕けるのはお断りだと沙那は思う。
「とにかく!龍平さんの気持ちは龍平さんにしかわからないんだし、龍平さんの事を知りたいなら龍平さんに聞くべし!」
そう言った美春は沙那の手に携帯を押し付ける。
「よぉっし!」
沙那も美春の言葉に励まされて気合いを入れて龍平の番号をダイヤルする。
『この携帯は現在、電波が届かない場所にあるか、電源が入っていない為に繋がりません…。』
冷ややかな女性の声が沙那の耳に聞こえて来る。
「ふえぇぇ…、美春ぅ…。」
沙那がまたしても半泣きの顔になる。
沙那とは長い付き合いである美春…。
恋とはこれほどまでに気丈な沙那を可愛らしい乙女にするのだと感心をした。
「今日がダメでも、明日があるでしょ?てか、明日は私達だって学校なんだから、たこ焼きを食べて、しっかりと寝ないと辛い明日になるわよ!」
美春は叱るように沙那に言い、コンビニで軽い食事を買って来て、沙那と夕食を済ませる事にする。
幸いな事にこの3日間は寝不足だった沙那だから、久しぶりの自分のベッドに美春と入るとすんなりと眠る事が出来たのだった。