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アゲマン!
第8章 落ち着きのない謎
「監禁!?」
さすがに警察沙汰になった事実に美春は驚きが隠せない。
「うん…、でも、その事はいいの…。ただ千恵さんや叔母が今でもまだ巫女の立場を保とうとしている事実が辛かった…。」
「人ってそういうものなのかも…。うちの父さんだって、家族よりも会社って必死になる時があるもん。そんな簡単には変われない何かがあるんだよ。」
美春の話に沙那は頷く。
母である理奈も頑なに自分の生まれを隠し続けた。
「それよりも、龍平さんとはどうするつもり?」
美春が沙那を責めるように言う。
「どうって…、私はただのターゲットだもん…。」
沙那はいじけるようにしか答える事が出来ない。
「あくまでも、仮説だけどさ…。」
美春がそんな事を言い出した。
「何…?」
「沙那のアゲマンって男にしか効かないんじゃなくて、人の欲にしか効かないんじゃないかな?」
「どういう意味?」
「私が沙那を感じさせた時、確かに万馬券を狙ったけど、根本的には沙那にこの体質で不幸になって欲しくないって願った部分があるのよ。」
美春の言い分として…。
まず、沙那の初恋の相手の草太はまだ将来に夢を持つ高校生だった。
その将来への欲に反応をした為に、その副産物として草太にモテ期が訪れてしまった。
次に、龍平の万馬券…。
その段階では龍平は依頼された仕事をやり遂げるという欲があった。
その欲の副産物が万馬券…。
その後の美春もフェリーの龍平にも自分自身に対する欲はない。
どちらも2人が共に望んだのは、沙那の幸せという事のみだ。
「えっと…、どういう意味?」
今ひとつ、美春の言いたい事がわからない。