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アゲマン!
第9章 寂しい謎
美人で英語も中国語も日本語もイタリア語も出来るというリン…。
料理も完璧に出来るリン…。
そして…、強いリン。
こんな人が龍平のそばにいつもいる。
沙那の胸が痛くなる。
リンが作ったカルボナーラを1口分フォークで巻いて口に頬張る。
「美味しい!」
素直にそう言った沙那にリンが穏やかな笑顔を向ける。
「当然よ。ロブの好物だもの…。」
リンが少し寂しい顔をする。
「ロブさんの?」
「そうよ。ロブとは結婚をしているもの…。」
リンが初めて女の顔を沙那に見せた。
その後のリンとの食事は楽しかった。
「言っておくけど、ボスは仕事仕事でデリカシーのない男よ?」
「確かに、龍平ってデリカシーがないよね…。」
「ロブと私を組ませるくせに、二言目には『イチャつくな。』とか言うのよ。自分はターゲットに夢中なくせに…。」
「えっ!?」
「ボスがこんなに執着した仕事は沙那が初めてよ。」
リンが笑う。
沙那は赤くなるだけだ。
「お皿、片付けますから、リンさんは先にお風呂に入って下さい!」
ニヤニヤとするリンから逃げるようにして沙那は台所に向かった。
翌日からリンが沙那と行動をするようになる。
ボディーガードと行動をするとか大袈裟な生活はもっと窮屈な生活になるかと思っていたが、リンはそういうのには慣れているらしく
「お友達と遊ぶのなら私は姿を消すから大丈夫よ。」
と言ってくれる。
要は、沙那が1人きりになるのを避けるというのが今のリンの仕事のやり方なのだと教わった。
誰かが沙那と居れば、無理に沙那を連れ去ろうとしたり、レイプをしようとは思わないのが普通だとリンが言う。
特に真希のように社会的地位のある人間は、そういう無茶は絶対にしない。