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「ネガティブ」のバイブル
第6章 シュロとザクロ
「俺明日にでも死ぬかもしれない」
翌日のランチタイム中、俺は唐突に呟いた。

「まーた馬鹿なこと言って…」

「だってあんな幸福なことが突然やってきたんだよ?天使みたいに優しくてかわいい子が俺をす、好きって…絶対一生分の幸運使った。もう死ぬしかない。ていうか別にもう死んでもいいや」

「こいつはのろけてんの?何なの?」

「今のうちに遺書準備しよ…」
机からルーズリーフ、筆箱からボールペンを取り出し、さらさらと書き始める。

「…いや、本気だわ。こいつの場合」
友人二人が、呆れ顔を見合わせる。そして淡々と書き進める俺を、やれやれといった様子で見るのだった。

と、座っている俺の横を誰かが通った。その拍子に、腕がぶつかる。これ以上ないくらいにうまく、完璧に書けていた年月日が、最後の最後でぐにゃりとゆがんだ。

うん、そうだよね。俺の人生はこんなもん。いつもそうだし…。

なんて落ち込んでたところ、ふと膝の上に何かあることに気づく。…くしゃくしゃに丸められた紙だった。
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