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夢…獏の喰わぬ夢
第6章 過去
その美貌で世界を動かしたクレオパトラの生まれ変わりだ。とか、
本当の姿を見られると飛び立つ鶴の化身だ。とか言われても納得しそうだし、
浦島太郎が開けてしまうと知りながら玉手箱を渡した竜宮城の姫は、永久の宴を拒んだ罰を下したのよ。
あれは私。
なんて言われても、やはりそうだったんだ。と思うだろう。
自由奔放な彼女を言葉で理解するのは意味のないことかもしれないが、僕はあまりにも知らなさすぎだった。
「僕は神奈川県で生まれ育った。
三崎って知ってる?神奈川県の先端。海と畑に囲まれたところ。
神奈川でもそんな田舎町があるんだと馬鹿にするくらいな町だけど春先、菜の花畑があたり一面黄色に染まるのは綺麗だよ。」
「いいわね。今度、連れて行って。」
「家族は両親と兄貴、兄貴は優秀で、一流の大学を出て、一流の企業に入り、
今は一流の嫁さん探しでもしているんじゃないかな‥。
」
僕は何となく彼女の手を握りしめたくなり手をつないで、話を続けた。