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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
せっかくだから、二人にはゆっくり休んで欲しいと思い、わからないことがあったら呼ぶので自分に任せて欲しいと申し出た。
奥さんは喜んでくれた。
本当に客はほとんどいない。
僕は棚の整理をした。搬送トラックが来て、品物の整理を終えると眠くなってきた。
レジ内でまどろんでいた。
彼女と出会うまで、僕は他人のこと、自分のことに無関心だった。
だが今は違う。
人はそれぞれの人生を生きているようでいて、関わりあっている。
そこで得た何かを糧に自分も生きている。
僕はこれから何をしてどう生きていくのかを考えなければならない。
最低限彼女と一緒にいるには働かなければならない。
どうせなら、自分のやりたいことを見つけたい。
そんなことを漠然と考えていると空は白んできた。
ただ、親から逃げたい為に大学に入ったのだが、何かを探さなければならない。
そして、彼女に会える大学に行くことは僕の今一番の楽しみだ。
通勤がてら店に寄る客が入り始めた。
彼等にも同じように1日がある。
僕の何年か先に同じような朝があると思い、昨日はつまらない始まりだと思ったが、
果たしてそうだろうか。