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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
「手遊び歌の?」
「そう、蟻がリュック背負って登山するって、そんな途方にくれるほど歩いたわ。」
「蟻になったの?」
「いつも昆虫になる訳じゃないわ。」
彼女は僕がからかったのを知って、ワザと頬を膨らまして言った。
「一年くらい季節がぐるっと回ってしまうくらい。
吹雪を越えて春がきて沢山の花に囲まれたの。
そんな登山は出来ないけど、どこに行こうか、どんなプランにするか、色々見てみたくなったの。」
僕たちは今日図書館に行くことに決まった。
彼女は相変わらず講義中眠り続けた。
ランチの前にちょっとした事件が起きた。
彼女が眠りの要塞を片付けている時に、前にガッツポーズをしていた男が彼女に声を掛けてきた。
「ランチ一緒にしない?、
俺だけじゃなく、この前から君と話してみたいって仲間がいて、他に女の子もいるし…どう?」
僕は彼女がどう答えるのか、いずれにしても彼女が席を立たないと出れないので、関係ないフリをして座っていた。
彼女は
「ごめんなさい。私決まった人とランチしてるの」
「隣りの彼でしょ?みんなで一緒にどう?」
男は僕の方に視線を投げかけた。