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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化

彼女は僕の方を見ないで答えた。

「私達、大勢は苦手なの。」


男は、両手を肩の辺にあげて、参ったねというリアクションで、
「もし、気が変わったら大抵ランチルームにいるから。」
と言いながら離れた。

後ろ向きに、バイバイと手を振っていた。

「二人の世界も楽しいだろ〜けど、大勢でいるのもいいよ。」

男は、立ち去りながら、言い放った。

男が居なくなるのを待って、
「良かったの?」
と聞いた。

内心自分を決まった人と発表されて嬉しかったのだが、
「ダメだった?」
逆に聞き返された。

「いや、良かったけど」

お互いに好き、愛しているなど言葉にしないし、付き合おうと言葉にしたこともない。

偶然巡り会っただけで彼女の生活を変えてしまって良かったのだろうか。

逆によそよそしい態度は彼女を傷つけただろうか、
自分が『付き合っている』とはっきり言うべきだったのか。

考え始めて言葉を失った。

「キャンパス出ようね。」

彼女は言った。

確かに、今日は聖地は避けた方がいい。

キャンパスを出ると、
「このまま図書館いっちゃおうか。」

「サボるの?」
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