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夢…獏の喰わぬ夢
第2章 獏


ふいに、

「良かった!ここに来て。」

後ろから、息を切らして彼女の声がした。


恋人でもないのに、

「どうしたんだよ。午前はサボっていい講義だったのか?
それともいい夢から抜け出れなくなったとか?」

からかいながらも、会えた嬉しさで次々言葉が出た。


「どうして判るの?夢コントロールできた?
まだまだね。
抜け出れないんじゃなく居座ってたんだもの」



冗談のつもりが彼女の真面目な返事に、また謎が増えた。

「ランチの合間でなく、今度君とゆっくり夢の話がしたい」

僕は考える間もなく申し出た。


「今日、講義の後でもいいわよ。どこにする?」


自分の家の駅に彼女が喜びそうな公園があるのを思い出して、

「一駅先って行ったことある?」

と訊いた。

「あなたの家のある駅?いいわよ。」

あっさりOKが出るとは思ってもみなかった。
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