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僕だけの母さん
第4章 欲望
次の日、父さんは早い時間に帰宅した。
「あなた、お帰りなさい」
決して長くない髪を後ろで一つに束ねた母さん独特の髪型で母さんが父さんを出迎えた。
「ただいま」
父さんは急な出張で疲れた様子だった。
「私がいない間、何事もなかったか?」
一家の主らしく、父さんが自分の留守中に何かなかったかと母さんを気遣っていた。
「はい、何事も・・あ、そういえば、加藤さんが自分の代わりに急な出張をさせてしまったとお詫びに見えましたけど」
「そうか、律儀な奴だな」
父さんは苦笑いしている。
(何が律儀な奴だよ!父さんのいない間に何があったか教えてやろうか?まったく呑気なんだから!)
僕は夕食を摂りながら心の中で父さんに毒づいた。
「あー、疲れたよ」
父さんが帰宅するなり『疲れた』などと弱音を吐くのは珍しかった。
「今日は早く休んで下さい。今すぐ夕食の用意をしますね」
母さんはキッチンに入って忙しく父さんの夕食の準備を始めた。
「どうだ?受験勉強は頑張ってるか?」
上着を脱いでワイシャツ姿になった父さんが僕の前に座りながら話しかけてきた。
「うん、ちゃんとやってるよ」
「そっか、大変だろうが、おまえが潜る最初の関門だからな。自分で頑張るしかないな」
人の良い笑顔を見せる父さんが哀れに思えた。
(母さんも罪だよな。こんな優しい父さんを裏切ってるんだもんな)
僕は父さんと母さんを交互に見ながら、そんな思いに駆られていた。
と、その時、僕の頭にもう一つ別な考えが浮かんだのだった。
(そうだ!僕は母さんの秘密を知っているんだ。母さんが誰にも知られたくない秘密を・・)
次第に僕の中でどす黒い悪魔が成長していくのがわかった。
「あなた、お帰りなさい」
決して長くない髪を後ろで一つに束ねた母さん独特の髪型で母さんが父さんを出迎えた。
「ただいま」
父さんは急な出張で疲れた様子だった。
「私がいない間、何事もなかったか?」
一家の主らしく、父さんが自分の留守中に何かなかったかと母さんを気遣っていた。
「はい、何事も・・あ、そういえば、加藤さんが自分の代わりに急な出張をさせてしまったとお詫びに見えましたけど」
「そうか、律儀な奴だな」
父さんは苦笑いしている。
(何が律儀な奴だよ!父さんのいない間に何があったか教えてやろうか?まったく呑気なんだから!)
僕は夕食を摂りながら心の中で父さんに毒づいた。
「あー、疲れたよ」
父さんが帰宅するなり『疲れた』などと弱音を吐くのは珍しかった。
「今日は早く休んで下さい。今すぐ夕食の用意をしますね」
母さんはキッチンに入って忙しく父さんの夕食の準備を始めた。
「どうだ?受験勉強は頑張ってるか?」
上着を脱いでワイシャツ姿になった父さんが僕の前に座りながら話しかけてきた。
「うん、ちゃんとやってるよ」
「そっか、大変だろうが、おまえが潜る最初の関門だからな。自分で頑張るしかないな」
人の良い笑顔を見せる父さんが哀れに思えた。
(母さんも罪だよな。こんな優しい父さんを裏切ってるんだもんな)
僕は父さんと母さんを交互に見ながら、そんな思いに駆られていた。
と、その時、僕の頭にもう一つ別な考えが浮かんだのだった。
(そうだ!僕は母さんの秘密を知っているんだ。母さんが誰にも知られたくない秘密を・・)
次第に僕の中でどす黒い悪魔が成長していくのがわかった。