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僕だけの母さん
第4章 欲望
受験勉強そっちのけで僕は母さんをイジメる手段を考えていた。

まずは、母さんが愛する夫を裏切って他人の男に抱かれた不貞の事実を知っている第三者がいるという事を母さんに知らせなくてはならなかった。

勿論、その第三者が僕だと気付かれてはならない。

僕や父さんではない、第三者の存在を母さんに信じこませる必要があったのだ。






散々、考えた挙げ句、僕は手紙という古典的な手段を選んだ。

勿論、パソコンのワードを使い、脅迫状的な手紙を書いた。

『貴女の秘密を知っています。夫やこどもにバラされたくなかったら、私の言う事を聞くように・・! 悪魔より』

こんな内容の手紙を自宅の郵便受けに放り込んだ。

ワクワクした。

ドキドキもした。

果たして、母さんがどんな反応を見せるか?









「ただいまぁ♪」

僕はわざといつもより明るく、大袈裟な位に元気に帰宅した。

「お帰りなさい・・」

出迎えた母さんは明らかに元気がなかった。

「あれ?母さん、どうかしたの?元気がないみたいだけど」

僕は母さんを心配してるふりをした。

「え?う、ううん、何でもないわよ」

僕の顔も見ずに無理に笑顔を作る母さんを見ていると少し可哀想な気がして胸が痛んだ。

「母さん、やっぱり具合悪いんじゃない?顔色が悪いよ」

僕は更に突っ込んでいく。

「う、うん、ちょっと具合悪いかも・・」

か細い声でそう言った後、母さんは立ち眩みしたかのようにふらついたのだった。

「おっと、大丈夫?」

僕は咄嗟に母さんの腕と背中を支えてやった。

「ご、ごめんね。ちょっと目眩がしたの」

母さんは僕に心配かけまいと無理に作り笑いしながら、僕の手を離そうとする。

「駄目だよ!一人じゃ倒れちゃうよ」

僕は母さんを近くのソファに腰掛けさせようとしながら、どさくさ紛れに脇の下から伸ばした両手で左右の胸を掴んだ。

「あっ、翔ちゃん、大丈夫だから」

母さんは僕が故意にやった事だとは思っていない様子だった。


























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