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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「先々困る…のか?」
「だって、バンシルが侍女なのは、今だけなのよ?注意する事があったらしておいて貰わないと、婚礼の時に困るでしょ?春からずーっとデイジーが支度してくれるんだもの、先々困らないようにしておかないと」
「…婚礼…春から…ずーっと…先々…」
サクナは姫の訴えを聞きながら、眉を顰めて何やらぶつぶつ呟いておりました。そして一瞬口元を綻ばせましたが、すぐに口元を引き締めて、咳払いしました。

「…そりゃあ、お前の言う通りかもしれねぇなあ」
「でしょ?だから、下ろして?」
懇願する姫の頭をひとつ撫で、サクナは姫をそっと下ろしました。

「大丈夫そうか?」
「ええ、ありがと、大丈夫!…でもまた緊張したら、手を握ってくれる?」
「ああ」
立ち上がった姫の頬に口づけたサクナの頬に、姫は微笑んで口づけ返しました。

「…お見事です、奥様…」
「え、そんなに似合ってる?ありがと、バンシル!」
バンシルは姫がいつの間にやらサクナの操縦が上手になっている事に讃辞を漏らしたのですが、姫には全く通じませんでした。
「…美しさのついでに、天然にも磨きがかかられて…」
「天然?」
首を傾げる姫に、確かに格段にお美しくなられた、とバンシルは感慨を深くしました。
昔から黙って大人しくしている時限定で醸し出される清楚な気品に加えて、今では初々しい艶と色香も身に付いていました。すっかり人妻らしい佇まいになったスグリ姫を惚れ惚れと眺め、バンシルは悔しそうに唸りました。
「勿体ない…まだ知り合って半年程度の輩に攫われるなんて…本当に、勿体ない…」
「何か言ったかお前」
「別に。」
バンシルも、分かってはおりました。元々姫が持っていた清楚さや気品はともかく、姫を艶やかに色付けたのは、この忌々しい姫馬鹿なのです。
 
「本当に、眩しい位にお美しい、素晴らしい嫁御様ですわ。どんな殿方のお隣に並ばれても、何の心配も遜色も御座いませんよ」
「あ?どんな殿方って、誰だよ。スグリは俺以外の隣になんざ並ばせねぇぞ」
感極まったバンシルの涙は、不機嫌面の言い掛かりによって吹き飛ばされました。

「サクナ?バンシルのは、例え話よ?」
「例えだろうが妄想だろうが絶対駄目だ」
「御当主様…いい加減にして下さい」
サクナとバンシルの睨み合いが始まろうとした時、控え室の扉が叩かれました。

「お時間です。準備が整いました」
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