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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「痛ってえ!!何すんだよ!!」
「は?何すんだよはこっちの台詞だよ!忙しんだよ、お喋りは後にしとくれ!」
男が振り向くと、新しく雇われた女の調理人がお冠でした。
「や…だってよ、あの鬼のサクナ様が、ご機嫌でにっこにこしてるってんだぜ?」
「はぁ?お生憎様だけど、あたし達にゃあそんなもん全然珍しかないね。サクナ様はね、スグリ様といらっしゃる時は、いつでもそんな風なんだよ。そんな事なんざ、鈍いあんたらと違って、とっくに知ってんだよ!」
ふんっと鼻息荒く言った調理人の後ろでお茶菓子の仕上げをしていた菓子職人の女も、のんびりした声で加勢しました。
「そもそも、私らが雇われたのは奥様の為だからね。旦那様は、嫁いでから奥様がお淋しく無い様にって、女同士打ち解ける為の野遊びを提案されたりもしたものねえ」
「そん時の様子を見たらあんた達も、サクナ様は鬼どころか雛の世話をする親鳥みたいだと思っただろうよ」
「そうそう。スグリ様に、寒くないかとか、忘れ物は無いかとか、怪我に気をつけろとか、早く戻れとか…最後にゃあ親鳥様は、うんざりしたお雛様にピーピー突っつかれてたよ!」
厨房の一同はその様を頭に思い浮かべて、どっと笑いました。
「よし!仲睦まじいお二人の為に、もう一働きだ!特に、鬼を親鳥に変えちまった嫁御様の為に、存分に腕を奮おうぜ!」
思い切り笑って活力を得た厨房の面々は、まだまだ続く主達の祝いの宴の為に、それぞれの仕事に戻ったのでした。


しばらくしてほとんどの招待客が中に入り、人が途絶えた時、サクナは姫がふうっと深呼吸した事に気付きました。
(…さすがに疲れたか。一旦休ませとかねぇとな)
二人は挨拶を終えて宴席に入っても、招待客と話をして回らねばなりません。ヴァイオレットに椅子を持って来させるか、と思ったサクナは、姫に声を掛けました。

「おい、スグ…」
「ご婚約おめでとうございます、スグリ嬢」
サクナが声を掛けたのを遮って、涼やかな声がしました。
「今日は、一段とお美しいですね」
「タンム様!」

「スグリ姫様、サクナ、婚約お目出度う。この日を共に祝える事を、心から嬉しく思っていますよ」
「ありがとうございます…!」
姫はタンム卿の姿を見て、城で初めて会った時の事を思い出しました。纏っている正装がこの地の物ではなく都風の物で、見合いに来た時に着ていた物と似ていたからです。
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