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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「ね!良い考えでしょ?ローゼル様、それでいかがかしら?」
スグリ姫の好意から出た提案を聞いて、ローゼルは少し微笑みました。

「そうさせて頂けると、助かりますわ。お気遣い頂いて有り難う、スグリ様」
「お役に立てそうで、良かったですわ!私は、ローゼル様のお宅のお茶会に招かれた時に着たドレスを着るか……そうだ!都から来る嫁のお披露目なので、都風のドレスにも着替えてみました!…って事にするのはどうかしら?」
姫の提案は、サクナの目を見張らせました。
「そりゃあ上手い考えだな!お前、たまーに凄ぇ良い事思い付くよなあ」
「失礼ね!たまーに、なんかじゃなくってよ!……でも…たまに、くらいかしら…」
一瞬膨れた姫を見たサクナは、さっき珍しいと言わなくて良かったと思いながら、姫の頭を撫でました。

「よしよし。別に、時々でも良いじゃねぇか。今回なぁ、どっちも凄ぇ名案だぞ?……よし、クロウ。そろそろ宴席を締めて、ビスカスを移す手配を頼む。スグリ、バンシルはどこだ?」
「…あら?そう言えば、さっきから見てないわね…?」
余興の踊りを踊り終えて一旦席に戻った後で、サクナと姫が二人でその場を抜け出して以来、姫はバンシルの姿を見ておりません。
「居ねぇのか。じゃあ、髪はデイジーに結わせるかな。あいつなら、なんとか出来んだろ…ローゼルの髪も、お前の長さが変わっちまったその髪も」
「ええ。分かったわ」
姫とローゼルのお開きまでの行動の予定が決まった所で、クロウが口を開きました。

「それでは、私はあちらに倒れている婦人を、お帰りになるまで大人しくして頂けるどこか適当な所に運びましょう。その後で、ビスカスを屋敷に運びます」
「ああ。宜しく頼む」
「ご安心下さい。この屋敷の中に私が居る限り、まだ天命の尽きていない者の命が失われることは、二度と許しません」

そして一同は一旦この場を離れて、それぞれの予定に従って、宴席をお開きにしてこの一件の後始末をする事に、取り掛かる事にしたのでした。
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