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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様

(サクナ、今日、戻って来られるかしら…)
ぼんやりとお茶のカップを眺めながら今日の出来事を思い出していた姫は、椅子に沈み込みました。

しばらくそうしていた後、スグリ姫は立ち上がり、隣の部屋との間の扉を開けました。主が居ない部屋はひっそりとしていて、少し寒い様な気がします。
部屋に入って辺りを見回すと、微かにオレンジの様な暖かい香りがしました。それは、姫にとっては城で初めて会った時から変わらない、大好きなサクナの匂いでした。

(…今日このお部屋で眠るのは、お預けかしらね…)
余興の踊りを踊った後で、今日はサクナの部屋で休もうと約束をしておりました。姫にとって、今日はサクナの部屋で眠れる初めての日になる筈だったのですが、それどころでは無くなってしまいました。
サクナが帰って来たとしても、ビスカスの事を考えると、単純に喜ぶ気持ちにはなれそうも有りません。
姫の気持ちは、沈んでいました。


ローゼルに屋敷の客間まで付き添った後、姫は部屋に帰されました。
ビスカスにはヴァイオレットとローゼルが付いていましたし、サクナとクロウ、それに領主と子息達は、別室で今後の相談をする事になっていました。どちらも特別姫が同席する必要は無かったため、部屋に戻ってゆっくりしている方が良いだろうと言われて、帰されたのです。

ビスカスの居る部屋から姫の部屋まではバンシルが付いて来てくれたのですが、バンシルもまだ仕事が有るからと、風呂の世話や部屋での着替え、寝支度などをマーガレットとデイジーに指示すると、部屋から去って行ってしまいました。
庇ってくれたビスカスに命の心配は無く、あとは回復を待つだけであるという事は、姫にとってはほっとする事でした。しかし、ビスカスの怪我で心を痛めていたローゼルの様子を思い出すと、姫の胸は、重く沈みました。

(たまたまビスカスさんが来てくれて、私の代わりに怪我をして、たまたまローゼル様が辛い目にあっているだけ…だって、もし来てくれて怪我をしたのがサクナだったら、私がローゼル様と同じ様に…)
スグリ姫はそれを想像しただけで鼻の奥がつんとして、涙が出そうになりました。
姫が身を竦めて自分で自分を抱き締めた時、かちゃりと扉が開く音が聞こえてきました。
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